映画「朋の時間」上映会
〜 2004年3月14日 〜

 訪問の家「朋」
 社会福祉法人 訪問の家

 映画「朋の時間〜母たちの季節〜」

 上映会に先立って、神奈川県横浜市にある重症心身障害のある人たちの通所
 施設「訪問の家“朋”」の視察に行ってきました。
保護者のほか支援機関のスタッフ
 ら総勢8名での視察は、通所施設のほか、診療所、グループホームの視察など法人
 グループの取り組みを短時間で回りましたが、その内容の濃密さに感嘆の連続でした。

  障害の程度や種類に応じたプログラムは、利用者を障害者としてではなく社会人とし
 て捉え、それぞれにできる役割を地域の中で実現する姿に、目標とすべきケアのあり
 方を学ぶことができました。

代表宇賀さんの挨拶
80人を超える方々が
集まってくださいました。
神奈川の訪問の家「朋」を視察に行ってきた時の
報告をまとめて展示しました。
受付の様子
Open Heartの看板娘ともちゃん
も本の販売のお手伝い♪

誰もが地域で暮らせるために
                                             社会福祉法人訪問の家・朋施設長 増渕 晴美

〜これからの課題〜
  今年3月、16年間朋のメンバーとして通所されていたYさんが、自宅で亡くなられました。進行していく病気で、ここ10年ほどは、
 
自分の意志で全く身体を動かすことはできず、鼻腔チューブ、下咽頭チューブ、バルーンカテーテルを挿入し、注入、排痰、
 吸引、呼吸状態の観察、排泄の管理等々が必要となっていました。家族は、総出で家業を営んでおり、Yさんは、朋への通所
 以外に、ホームヘルパー、訪問看護、移送サービス、ショートステイ、緊急時には朋診療所のドクターへの電話相談、ボラン
 ティア、母の知人の助け等、
公式、非公式なあらゆるサービスやサポートを受けながら、家での暮らしを維持していました。
  言葉も出せなくなり、身体の状態はどんどん厳しくなっているのに、Yさんの気持ちは逆にどんどん外に向けられ、楽しみを見つ
 けているようでした。特にステキな男性を見つめ、嬉しそうに笑う顔は、誰が見ても本当に幸せそうでした。おそらく家族の状況と
 しては、
在宅での暮らしは、とうに限界を超えていたと思います。それでも家族は、何度確かめても、「家族の中で。そして
 大好きな朋へ通わせたい。
」でした。
  私達は二つのことを考えました。一つは、
利用しているサービス等のコーディネートをし、現在の朋と朋診療所でできる
 限りの支援体制を組みながら、今の生活を支えること
。もう一つは、家族による介護が破綻してしまう前に、今のYさんの
 精神面を大事にしながら生活できる場をつくっていくこと
。その場は医療と福祉が一体になっていなければ存在できないで
 しょう。これが整えられたら、おそらく
“誰もが地域で暮らせるように”ということが、実現できるのではないでしょうか。 
  Yさんはいなくなってしまったけれど、共に描いた夢を、多くの仲間たちと、描きつづけていこうと思います。
  夢が実現できるまで・・・。